千葉地方裁判所 昭和52年(わ)1019号 判決 1978年7月26日
本店所在地
千葉市富士見一丁目一三番八号
法人の名称
大成観光株式会社
代表者住居
千葉市稲毛三丁目三番一六号
代表者氏名
代表取締役 川原慶子
本籍
千葉市稲毛三丁目八二六番地
住居
右同所三丁目三番一六号
会社役員
川原慶子
昭和八年一月五日生
右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官上田廣一出席のうえ審理して、次のとおり判決する。
主文
被告会社大成観光株式会社を罰金六〇〇万円に処する。
被告人川原慶子を懲役六月に処する。
被告人川原に対し、この裁判の確定した日から二年間、その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社大成観光株式会社は、千葉市富士見一丁目一三番八号に本店を置き、特殊浴場の経営の事業を営むもの被告人川原慶子は、昭和五一年八月二五日までは同会社の代表取締役として、同代表取締役辞任後は夫一彦を名目上の代表取締役にして引き続き同会社の事実上の経営者として、その業務全般を統括していたものであるが、被告人川原慶子は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、特殊浴場の収入の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ
第一 昭和四八年九月一日から昭和四九年八月三一日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額が二四、〇三二、三四七円であったにもかかわらず、昭和四九年一〇月三一日、同市新宿二丁目六番一号所在の所轄千葉税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が一、一七五、六五〇円で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度の正規の法人税額八、八九二、八〇〇円を免れ
第二 昭和四九年九月一日から昭和五〇年八月三一日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額が四〇、九六七、八六五円であったにもかかわらず、昭和五〇年一〇月二七日、前記千葉税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七、八五三、五〇一円でこれに対する法人税額が二、四二一、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度の正規の法人税額一五、五四六、八〇〇円と右申告税額との差額一三、一二五、六〇〇円を免れ
第三 昭和五〇年九月一日から昭和五一年八月三一日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額が二九、三七二、九八三円であったにもかかわらず、昭和五一年一一月一日、前記千葉税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、六〇一、四三二円でこれに対する法人税額が九六八、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度の正規の法人税額一〇、八六九、一〇〇円と右申告税額との差額九、九〇〇、五〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一、被告人川原の当公判廷における供述
一、被告人川原の大蔵事務官に対する質問てん末書(二二通)ならびに検察官に対する供述調書(四通)
一、次の者の大蔵事務官に対する質問てん末書(A)ならびに検察官に対する供述調書(B)
A B
1. 深山将子 四通(内三通は抄本) 二通
2. 三平正家 三通 一通
3. 安生隆 二通
4. 池谷芳樹 一通
5. 細井信司 一通 一通
6. 内山魏 二通
A B
7. 栗原一男 一通 一通
8. 嶋田雅次 一通
9. 山下友男 一通
10. 姜熙博 二通
11. 高山聖子 一通 一通
12. 高井伝三郎 一通
13. 出海哲哉 二通
14. 福島豊 一通
15. 水問澄江 一通
16. 橘波和子 一通
17. 山本智子 一通
18. 安池省平 一通
19. 若山孝雄 一通
20. 清水睦男 一通
21. 佐藤周 一通
22. 太田信明 一通
23. 石沢徹 二通
24. 大野成美 一通
25 川原一彦 四通 一通
一、大蔵事務官作成の現金調査書、簿外普通預金調査書、簿外定期積立金等調査書、簿外定期預金調査書、源泉所得税過納金調査書、預金利息にかかる源泉所得税調査書、未払金調査書、預り金調査書、代表者勘定調査書、代表者個人収支計算調査書、給料収入調査書、個人不動産収入調査書、宝石売買収入調査書、着物収入調査書、個人預金利息調査書、個人貸金及び受取利息調査書、出資金調査書、所得税調査書、市県民税調査書、固定資産税調査書、馬預託料調査書、ゴルフ会費調査書、保険料調査書、飼犬調査書、個人銀行借入金調査書、青柳染織(株)に対する川原一彦の支払調査書、個人分普通預金調査書、個人分定期積金調査書、個人分定期預金調査書、個人資産取得調査書、公表帳簿中の個人資産負債調査書、売上除外調査書、代表者勘定調査書(訂正)、個人貸金及び受取利息調査書(訂正)
一、押収してある借入、貸付、仮受、立替仮払帳(昭和五三年押第二九号の八、九)、貸付、前渡、仮払、借入、預り金仮受帳(同押号の一〇)、税金関係領収書綴(同押号の一二)、使用済総合口座通帳(同押号の一七、一八)
一、登記簿謄本(五通)
判示第一の事実につき
一、大蔵事務官作成の事業税未払金調査書、建物付属設備調査書、預り保証金調査書、減価償却超過額調査書、損金計上延滞金及び役員賞与調査書、脱税額計算書二通(証第一三三号、同一四二号)
一、押収してある元帳一綴(同押号の一)、賃貸借契約書等三袋(同押号の一三ないし一五)、法人税確定申告書(同押号の一九)、同(修正分)(同押号の二〇)
判示第一、第二の各事実につき
一、大蔵事務官作成の個人不動産収入調査書
一、押収してある昭和四九年度所得税源泉徴収簿(同押号の一六)
判示第二の事実につき
一、大蔵事務官作成の修正申告額受入計算調査書、損金計上市民税等調査書、法人事業税還付金認容額否認調査書、源泉預り分前期計上認容額否認調査書、社長貸付金前期計上認容額否認調査書、脱税額計算書二通(証第一三四号、同一四三号)
一、押収してある元帳一綴(同押号の二)、銀行勘定帳一綴(押号の四)、金銭出納帳一綴(同押号の六)、法人税確定申告書(同押号の二一)
判示第二、第三の各事実につき
一、大蔵事務官作成の事業税未払金調査書、同(訂正)
判示第三の事実につき
一、柏吉光の大蔵事務官に対する質問てん末書ならびに同人作成の証明書
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書二通(証第一三五号、同一四四号)
一、押収してある元帳一綴(同押号の三)、銀行勘定帳一綴(同押号の五)、金銭出納帳一綴(同押号の七)、法人税確定申告書(同押号の二二)
(法令の適用)
被告会社大成観光株式会社の判示所為は、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項に被告人川原慶子の判示所為は、いずれも同法七四条一項二号、一五九条一項にそれぞれ該当するところ、被告人川原慶子については、所定刑中懲役刑のみを科することとし、両被告人の判示所為は、いずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で罰金六〇〇万円に処し、被告人川原慶子については、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役六月に処し、なお同被告人については、諸般の情状により同法二五条一項を適用して、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 今井俊介)